無線LANのタダ乗りは合法です

別に、違法行為を助長しているわけではありませんが、不正アクセス禁止法で有罪になった人の、無線LANタダ乗りが電波法では無罪になったというニュースに絡み、意外とタダ乗りそのものが違法、違法にしないとおかしいという人が多い。

が、現実問題これは無理です。

無線LANというのは、設置した時点で自分の回線に不特定多数がアクセスできるようにするための機です。
例えるならば、無線通信とは大声で情報をやり取りしているのと変わらないのです。大声が聞こえる場所ならだれでも情報は聞こえます。反対に、聞こえてきた大声の内容が返事として正しいなら、姿を確認しなくても暗号鍵を知っている=正しい会話相手と認識します。
こういう電波で不特定多数に情報をばら撒いているという性質上、どういうセキュリティーを施しだれに使わせるかは基本的に設置者の自己責任と民事の領域です。電波の送受信自体はいかなる目的でも全くの合法なので、利用者管理が設置者自身である程度できることが無線LANの利用の前提です。
これを一律にタダ乗りを違法としてしまうと、接続の暗号鍵を口頭で教えたあとに突然翻してタダ乗りと主張すれば他人に捜査や逮捕させることも可能だし、無料Wi-Fiを設置して自動接続した通行人を軒並み逮捕することも可能です。
電波の受信や傍受はいかなる目的でも合法であり、合法な接続と違法な接続を接続単体で判断するのは非常に難しく、管理者の恣意が大きく影響するために利便性の観点や設置者の使用目的の自由も奪いかねないので、タダ乗り単体を違法化することは非常に困難です。

また、無線LANの接続の暗号化の暗号鍵についても通信の秘密には該当しないという判決に問題はありません
もともと、暗号化に必要な秘密の鍵を電波で流す時点でセキュリティーにならないので通信しないし、基本的に事前共有鍵で相手が同じ鍵を使って暗号化するという前提ですので、暗号鍵を通信すること自体がない。通信の中身に載ってない情報を通信の秘密にすることはできません。
他方、暗号鍵にはもう一つ、公開鍵というのもありますが、これは逆に相手にこれを使って暗号化をしてもらうための公開情報です。通信内容の秘密を作り出すための暗号化の方法を公開しているだけなので、公開鍵を傍受利用するだけでは罪に問えません。

さらに、暗号化についての誤解があるようにも思います。
暗号化というのは、暗号化の方式が相手に知れた時点で相手は暗号鍵がどこからどこまでにあるのか分かってしまうのです。暗号化方式を知らせるという行為は、つまりは偽物のカギと本物のカギをぐちゃまぜにして渡していることと同じことです。
その原理上、パスワードや暗号鍵のようなカギは、他人同士がやり取りする時点で決して完全秘密な情報ではないのです。いわば『秘密にしたいだけの情報』です。

その本質は時間稼ぎに他なりません。パスワードや暗号鍵のセキュリティーとしての価値は、その鍵情報を秘密にしておくことではなく、特定しにくくすることに価値があるのです。特定を防ぐ(価値を保つ)為に鍵情報を秘密にするんです。秘密にすることは目的達成の手段でしかありません。
パスワード設定でよく言われる、”0000”のような簡単なパスワードや誕生日等の推測が容易なパスワードがダメな理由も同じです。どんな複雑な暗号方式でも、鍵に時間稼ぎ能力が無ければ無意味なのです。
大事なことなのでもう一度言いますが、パスワードはその方式が分かった時点で相手に鍵が渡っています。ただ偽物が多いというだけのことです。

 

無線LANは根本的に不特定多数に回線を開くための機器であり、その利用にはそれなりの知識が必要なのです。それができずにタダ乗りが嫌なのであれば、無線はあきらめて有線接続にすることをお勧めします。

あ、でも、刑法で合法だからと言って、民法で不法行為であるのは変わらないのであしからず。通信費の分担や通信速度低下の実害に損害賠償や慰謝料は発生しますよ。

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